明日はもっと素晴らしい

(整腸剤はおやつです)

人生で最も長い7日間

 

1/15(月)

昼休みにスマホを見たらリプライ通知がいくつも来ていた。「大丈夫?」ツイッターのTLを見たら私のHNをつぶやいてる人も何人かいた。色んなニュースサイトのツイートがいっぺんにRTされてくる。「まさか」と思った。どのニュースサイトのリンクにも触れず、真っ先に彼女のブログを見に行った。

「ファンの皆様へ」

「2018年1月21日のライブをもって」

「卒業します」

カレンダーを見る。今度の、日曜日だった。次にオフィシャルサイトのスケジュールを見る。その日にライブの予定なんて書いていなかった。何が起きてるのかまだ理解できない。だって私は、2/10のライブのチケットを持っている。全国ツアーの最中でもあるし、4月には大きなライブも控えてる。

私が最後に彼女に会いに行ったのは昨年12/14のSSAで行われたクリスマスライブだった。すごく楽しかったし、「卒業」の気配なんて少しも感じなかった。その前の10月のソロコンも行った。すごく楽しかった、し、感動した以上に、「アーティスト」ととしての個性をめちゃくちゃ強く感じた。どのグループにも必ず終わりは来ると、覚悟はできないまでも理解はしているので、もしもメンバーの中で新しい道を見つけて卒業する子が現れたら、一番最初はこの子だろうなあとぼんやり思っていた。そしたら。

「普通の女の子の生活を送りたい」

「何も予定のない日々を人生で一度くらい過ごしてみたい」

事実上の引退宣言だった。しばらくお休みを置いた後の復帰は(少なくとも私は)まったく望めないと思った。何で1/21なんだろう?と思っていたら、どうやら彼女と所属事務所の契約終了日らしい。契約更新のサインを、しなかったんだ。

ふわふわした気持ちを抑えて何とか仕事をこなし、帰りのバスに乗ってスマホで彼女たちとマネージャーさんによる緊急生配信を見る。「今後何をするかとか、今は考えたくない」と、まだ続けることを決めてくれたメンバーたちの隣りで語る姿が正直一番きっつい。嘘でもいいから「もうアイドルとしてやり切った」「他にやりたいことが見つかった」と言ってほしかった。

2/10のライブのチケットを持っている身としては、推しが卒業後のライブになってしまうので、いつも推しメンカラーの緑グッズを身にまとってイベントに参加している自分は当日どうしたらいいんだと途方に暮れていたのだけれど、卒業する本人以外のメンバーが「今後のライブも緑を着て来てもいい」「彼女がいたことを無かったことにしないでほしい」という旨のことを言ってくれたので安心した。安心したって言うのも変なんだけど…

今日は新ドラマを見ながら夕飯を食べる予定だったけど、彼女たちは立て続けにネット配信の生放送番組に出るので、ひたすらそちらの情報を追うことになってしまった。番組MCの方に「ここ(カメラの前)に立ちたい女の子が世の中にどれだけいるか」って言われていた。私もそう思う。でも、彼女が「普通の女の子の生活」を知らないように、私も「年齢=芸歴の生活」を知らない。

生放送中に卒業ライブの詳細が発表された。会場は幕張メッセ。よく押さえられたな、と思った。ここが押さえられなかったら卒業ライブは無かったかもしれないという。ライブのタイトルは「2018 〜新しい青空へ〜」。発表したとき、卒業する本人は「私も今初めて聞いた」と言っていた。

21日は本当はケーキを買って父の誕生会をするつもりだったけど、「ごめんね」と父に謝った。

 

1/16(火)

寝て起きても夢ではなかった。昨日からテレビにラジオに、お世話になった所縁のある方々のところに、メンバー全員で挨拶参りをしているらしい。いつもわが家で見ている朝のテレビの情報番組にも生出演していた。挨拶された方がツイッターで報告して下さるのを見ていると、本当に恵まれた環境で活動していたんだなあと思う。

朝の通勤電車の中で、卒業ライブの申し込みを完了させた。16日の0時からFC会員限定で受付開始、同日16時には申し込み締め切り、18日に当落発表、19日21時に入金締め切り、21日のライブ当日の朝6時から発券開始という異例のスケジュールだった。あんなに力を入れている顔認証システムを準備する時間すら無いんだ。卒業ライブの申し込み権利は既存の会員のみかと思ったら、これから入会手続きする人も可能というので、激戦を覚悟した。

職場に着くと、何人かの先輩に「緑って一番応援してた子だよね…?」と声をかけられたり心配されたりした。そして昨日今日と仕事がとても忙しかったので、あまり悲しみにくれる暇もなかったのが幸いだったかもしれない。あとジャンル掛け持ちのミーハーオタクで本当に良かった(この日、大好きなアプリゲームのイベント開始日だった)

 

1/17(水)

今日は昨日と打って変わって仕事が暇だった。2日も経てばファンの方の色んな意見をツイッターで見るようになった。普段からあんまり人の意見を検索して探すようなことはしないようにしているのだけれど(流されやすいから)、卒業ライブの当落は明日だし、仕事は暇だし、ツイッターで色んな意見を目にする内に彼女の「卒業」に対して今度は「負」の感情が自分の内から溢れてくる。

「普通の女の子になりたい」って何だ?アロマ検定?そんなの仕事しながら取れるのでは?「普通の女の子になりたい」と言ってる横で、あなたの言葉を借りてちょっと意地悪な言い方をさせてもらうと「普通ではない女の子の生活」を送るメンバーの不安そうな顔見た?「卒業」なんてきれいな言葉じゃなくて「脱退」が相応しいのでは?「普通の女の子になりたい」ということは、今まで8年がんばってきたアイドル生活が嫌になった?仕事、嫌だった?私は自分が行ったライブ、全部楽しかったけど、あなたは楽しくなかった?辛かった?

何にも知らなくて、ごめんね。

この7日間で一番辛かったのはこの水曜日だったと思う。こんなような意地悪をツイッターで呟いていたら、仕事の帰り道に友だちからLINEで「彼女が楽しくなかったなんてことは、無かったと思うよ」と言ってもらえて救われた。自分で毒吐いておいてアレだけど、ライブで見た彼女もテレビで見た彼女もずっと全力だったのは伝わっていたから。ライブ当日に100%の力を発揮するために、200%の力を出して準備してしまうことを知っているから。歌もダンスもメンバーでトップだと思うけど、何より努力の天才でもあった。きっと「辞めるなんて言わずに、1年間休養しなよ」なんて提案しようものなら、1年後の復帰に向けて準備と努力をしちゃうんだろうな。

 

1/18(木)

卒業ライブ当落日。この日は暖かったのと、偶然、午後お休みだったので、公式グッズの緑のパーカーを着て家を出た。仕事を終えて会社を出て、駅に向かうバスの中で当落を確認する。取れてた。取れてたけど、間違いなくプレミア公演のはずなんだけど、彼女が卒業する事実は変わらないのでとても複雑な気分だった。

そのまま電車に乗って新宿に向かった。某CDショップで彼女たちの衣装が展示されているからだ。せっかく休みなんだし、行ってみようと思った。緑パーカーなんて着て行ったからめっちゃ目立ってしまった。

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ちっっっちゃ!!知ってたけどちっっっちゃ!!思えば体調不良(声が出ない、インフルエンザなど)で一番お休みが多かったのは彼女だったような気がする。「卒業したらまずは規則正しい生活を送る」と言っていたので本当にそうしてほしい。もう夜遅くまでブログ書いたり、ブログについたファンからのコメント全部読んだり、さらにはコメント投稿でアンケート募って自分でぜんぶ統計取ったりなんかするんじゃないぞ。

帰り道、自宅の近くを歩いていたら、前を歩いていたご近所さん(たぶん何度もすれ違ったことあると思うけど初対面)が急に私に「残念でしたね…」と声を掛けてきた。何でさっきからこっち見てるんだろうと思ったらお仲間だった。先方も日曜日のチケットが取れたそうなので、お互い風邪をひかないようにしましょう!と挨拶して別れた。

 

1/19(金)

チケットが取れて一安心した翌日は仕事がめちゃくちゃ忙しかった。帰り道にふと彼女たちの曲を聴いてみたけど、バスの中で泣いてしまいそうなのでやめた。この歌のソロパートも、あの歌のソロパートも、誰が引き継ぐんだっつーの。

彼女たちが挨拶回りをしたラジオ番組のパーソナリティーの方が、番組後に彼女たちがスタジオから去るときの話を少しだけしてくれたことを母から聞いた。他の子は「じゃあね、またね」と挨拶する中、卒業する本人だけは「じゃあね」としか言わなかったこと、最後にエレベーターに乗って扉が閉まるその時まで「4人をよろしくお願いします」と何度も言ってたこと。私のこの今の複雑な気持ちは、続けてくれる道を選んだ4人を応援して行くうちに少しずつ整って行くんだろうなと思った。イメージ的には粉ふき芋を作るときみたいな感じで。どんどん角が取れて、丸くなっていくといいなあ。

 

1/20(土)

この日は友だちとお茶してずっとしゃべってた。やっぱり過労には「休み」が一番だという話をした。もうめちゃくちゃ健康になってくれ。帰ってきたら昨年10月のソロコンが映像化・販売されることが決定していた。「アイドル」としての一切が表に出てない、「アーティスト」としての彼女が詰まったアルバムとコンサートなので、機会があればぜひ見てほしい。アンコールの「本編のセトリ全曲メドレー」最高でした。ステージセット真後ろの見切れ席のファンを終始気づかう彼女の姿が忘れられない。

早めに寝ようと思ったら、卒業する本人と、そしてメンバーの内1人がブログを更新していた。衝撃的な告知の後で、卒業する本人以外の人が何かを発信するのはすごく勇気がいると思うんだけど、こういう時に本当にピンクの彼女は頼りになるなあ。明日は「卒業ライブ」ではあるけれど、何より「5人での最後のライブ」に重きを置いているんだな、ということは伝わったので、明日最高に盛り上がるために「何で辞めちゃうんだよーーーーー!!!!!」とさんざん毒を吐いてから寝た。

 

1/21(日)

卒業ライブの帰りの電車の中でこれを書いている。良いライブだった。ライブで盛り上がる定番の曲と、今日で最後の彼女の見せ場がたくさんある曲、両方を兼ね備えたセトリだった。最初の衣装が、紅白出場2回目のときにインフルエンザでお休みして着れなかったものだった。その衣装は、ファンのみんなが衣装のパーツに直接書き込んだメッセージが模様になったものだった。私も書いてた。それに気づいた瞬間に涙が止まらなかった。紅白出場のときは緑の衣装をバラバラにして他のメンバーが身につけてくれたけど、また1つにしてくれたんだね。ありがとうございます。

MCは少なめにして、次々と曲が披露されていく。この曲のこのパートで緑のペンライトを突き上げることは、もう無いんだ、この曲も、この曲も、最後なんだ。今後は誰がこの歌のこのパート歌うのよ?

でもみんな良い顔してた。トロッコに乗ってすごく近くまで来てくれたけど、ありがとう、ありがとう、ってオフマイクで何回も言ってるのが見えた。紫の子はいつも歌声は可愛いイメージだったけど、今日は気迫があってかっこいい!って思うシーンがあった。

そして最後の挨拶。まずはメンバーから、卒業する彼女へ。私の思っていることをピンクの彼女が伝えてくれたのでスッキリした。「いつか卒業したのを後悔するくらいビッグになる」と言ってくれた。そう、私は意地悪なので、ちょっと後悔してほしいと思っていた。そしてリーダー。この1週間、メンバーはよく耐えたと思う。どこの番組に出ても「彼女には彼女の、私たちには私たちの歩む道がある。だから笑顔で見送りたい」と気丈に話してくれたリーダー。そんなリーダーが、最後の最後に漏らした本音。「10周年は5人で迎えたかった」。会場全員の総意。そしてそれに対する「私も10周年は5人で迎えられると思っていた。でも4人のために私は今辞めなきゃいけない」は何だったんだろう。言われた方はポカーンとしてたよ?何で、自分は「奇跡の5人じゃない」なんて思ってしまったんだろう。奇跡じゃなくたっていい、私は5人でこれからも一緒に歩んでほしかった。リーダーの「叶わない夢も、あるんだなあ」は私の心に深く刻まれました。

そして最後の最後に彼女から「アイドルとしてやり切った」と本人の口から直接聞けました。「やり切った」というよりは、「これ以上はできない」のかな、と私は感じてしまうけど…今日のために作ってもらった今日しか歌わない曲の歌詞を間違えたリーダーが愛しすぎる。両手いっぱいに花束を抱えて「ばいばーい!」と言って去って行った後、静かにスクリーンの緑のシルエットが消え、私の推しごと人生に1つの区切りができました。そしてすかさず発表された4人での東京ドーム公演。以前マネージャーさんがドームは眼中になさそうな発言をしていたので、本当にドーム公演が実現することに驚いた。東京ドーム、私の心の粉ふき芋を作るには、ちょうどいいサイズの鍋かもしれない。

ライブの最後の最後に歌った歌は4人だった。5人で最後に歌ってほしかったけど、あの歌は「あの空に向かって」共に進む仲間の歌だから、違う道を歩む彼女にはもう歌う資格のない歌だった。早速、あの子が歌っていたパートを別の子が歌っていた。最後に出てきた銀テープは4色だった。

公演が終わったら彼女が最後のブログを更新していた。そしたら最後の方に「今までできなかったSNSをやってみようかな」なんて書いてあって目玉が飛び出そうになった(あくまで選択肢のひとつで、本当にやるかどうかは本人にもまだ分からない)。どうか始めるときは正体を隠して、徹底的に「普通の女の子」を楽しんでほしい。今の私に期待させないでほしい。

そうこうしている内にFCのマイページが緑推しからハコ推し仕様に自動的に変わっていた。「発表してから6日で卒業とかふざけてんのか運営」って思ってたけど、こうして無事に帰宅してから振り返ってみると、6日で良かったのかもしれない。こんな精神状態で1ヶ月や半年も間を設けられたら気が狂いそう。最終的に彼女の気持ちを尊重して辞めさせてあげる会社で良かった。自分の体と気持ちに嘘をついて続けさせて、取り返しのつかないことになってしまったら、それこそ気が狂ってしまう。

20年以上「普通の女の子」をやっていた先輩から言わせてもらうと、「明日やることがない」恐怖はハンパないです。どうか自分のためにたくさん時間を使って、美味しいものをたくさん食べて、やりたいと思ったこと全部やって、次のステージが見つかりますように。お疲れさまでした、そしてたくさんの楽しい思い出をどうもありがとう!